AUTOPHAGY オートファジーについて

APGOが目指すもの

1 APGOが目指すもの

APGOは、オートファジー研究の成果が広く産業界で活用されるために、オープンイノベーションプラットフォームの役割を果たします。各企業との共同研究で得られた知見・ノウハウをベースに産業活用の基盤を作り、プラットホーム内での企業間のコラボレーションマッチングを促進し、得られた資金を再び大学との基礎・臨床研究に循環させる、新しいタイプの大学発ベンチャーを目指します。

2 オートファジーを
測る

吉森はLC3の発見だけではなく、それを応用したオートファジーの測定方法も開発してきました。それらは既に論文発表し誰でも実施することができます。しかし、細胞の条件など細かなコツがあるため正確で信頼できる結果を出すにはノウハウや熟練が必要です。 APGOは世界最高水準の測定法を細胞レベル、組織レベル、個体レベルで実施可能であり、例えばパートナー企業がオートファジーを活性化する天然成分をスクリーニングする際などに測定を請け負います。 またヒトの各個人において簡便かつ正確にオートファジー活性を測定する方法は今のところ存在せず、分野の大きな課題になっています。APGOはそのような臨床検査技術の開発も行いつつあります。そのような技術は、老化の程度や疾患の診断、創薬に大きく貢献します。

3 オートファジーを
活性化する
習慣を作る

後で述べるようにオートファジーを活性化する薬剤の開発も大事ですが、薬を使わなくても普段の生活習慣の改善でオートファジーを活発にできないでしょうか? 例えば運動をするとオートファジーが活性化することが知られています。 また先に述べたように、高脂肪食を摂るとオートファジーが低下するのでそういう食事は避けた方が良いでしょう。一方、天然の食品成分の中にオートファジーを活性化する成分が見つかっています。そういったものや、独自に新たにオートファジー活性化食品成分を探し出して、サプリメントや食品を開発したいと思っています。 食生活やサプリ、運動などによってオートファジーを活性化する習慣を若いうちから身につけていると、免疫力が高まりかつ健康寿命を伸ばすことができるのではないでしょうか。APGOでは、どのような習慣がオートファジーを活性化するか、さらに研究を進めていきたいと考えています。

4 皮膚老化を防ぐ

オートファジーはメラニンを減らす役割もありますが、恐らく皮膚細胞の老化も防いでいるでしょう。しかし歳を取るとオートファジーが低下し、しわやしみ、くすみの原因になっているのかもしれません。 APGOは、オートファジーと皮膚老化の関係を研究し、若々しい皮膚を保つ化粧品の開発も行います。また皮膚細胞のオートファジーが活発かどうかを判定する技術開発も目指します。

5 健康寿命を
伸ばす薬を作る

既に述べたように実験動物ではRubiconを無くすと寿命が延び、お年寄りに多い様々な病気になりにくくなりました。ヒトでも同じことが起こるかはわかりませんが、脂肪肝の患者さんの肝臓や、歳を取ったヒトの細胞でRubiconが増えていることが確認されているので可能性は高いでしょう。 日本は超高齢化社会を迎えようとしています。平均寿命は世界でも有数です。一方、病気のお年寄りの増加が深刻です。折角長生きしても病気で苦しむのでは幸福とは言えません。また嵩む医療費が国家財政を圧迫する事態も迫っています。「健康で長生き」を実現することが強く望まれます。 APGOは、オートファジーを活性化することでこの健康寿命を伸ばしたいと考えています。そのためにRubiconの働きを抑えてオートファジーの低下を阻止する薬剤や、あるいは他のやり方でオートファジーを盛んにする薬剤の開発を目指します。

ノーベル賞受賞式にて

2016年の恩師大隅先生(右)のノーベル生理学医学賞授賞式に吉森(左)も招待されました。